⑥〜ひとりの問題ではなくみんなの問題〜

小さな趣味の世界で「いじめ・嫌がらせ」を受けた人たちのほとんどは、排除され〝泣き寝入り〟して終わって来ました。

もちろん全員が全員、強引に叩き出されたわけではなく、中には嫌気が差して主体的に出て行った人もいます。

しかし、「いじめ・嫌がらせ」〝首謀者〟の戦略として見るなら、嫌気が差すように仕向けることも含まれており、どこまで本当に被害者側が主体性を持ち得ると言えるかは微妙でしょう。

小さな趣味の世界における〝泣き寝入り〟の実情は、たった一つの集団に過ぎないとは言え、TICA Asia Region(現TICA Asia East Region)の20年余りを振り返れば典型的なケースが幾つも見当たります。

一方で、〝泣き寝入り〟することなく、TICA Japanという小さな趣味の世界で声を上げ、歯向い、抗い、10年近くの歳月をかけて徹底抗戦し続けたのが私たちであり、TICA Japan Members’ Bullying & Harassment Countermeasures Promotion Program(略称BHCPP)を立ち上げたことからも分かるように、その〝闘い〟は今も続いています。

その根底にあるのは、「いじめ・嫌がらせ」を受けて悩み苦しむひとりひとりの問題に終わらせず、組織全体の問題(特に様々な構造的な問題)としても捉え、同じような思いをする人を出さないようにすること、同じような出来事が形を変えて現れた時に迅速に対応し、被害を最小限に抑えることーーでもありました。

小さな趣味の世界で起こる「いじめ・嫌がらせ」への理解を深めることも、「みんなの問題」であることを自覚してもらう重要なプロセスの一環であり、そのためには「いじめ・嫌がらせ」が不幸にして起きてしまっても〝泣き寝入り〟しないしないで済むよう、「いじめ・嫌がらせ」被害の経験者が寄り添い、助け、その輪を広げていくことしかありません。

この小さな趣味の世界で、「いじめ・嫌がらせ」が構造的問題であり、根深いタチの悪いものでる--等々、知れば知るほど関わりたくない…と思ってしまうかもしれませんが、そう思ってしまったら加害者側の〝思う壺〟です。

もし少しでも心の負担が軽くなり、悩みや苦しみ辛さが和らいぐようであれば、気持ちを新たに心機一転、「みんなの問題」として組織風土を改善する側に回ってはどうでしょうか。

悪いのはあなたではなく、「いじめ・嫌がらせ」をする側であり、自分の利害のためだけに加害者側に付いたり、容易に同調圧力に屈したり、責任逃れと自分可愛さに我関せずを貫く傍観者であったりするわけですから、あなたには組織を正す権利を持つということにも気づいてほしいと思います。

TICA Japan Members’ Bullying & Harassment Countermeasures Promotion Program

いじめ・嫌がらせを受けたメンバーが1人で悩んだり、判断力も解決能力もないメンバーに相談して事態を悪化させたりすることのないよう、いじめと嫌がらせ、意地悪の区別や判断基準から対処法の基本的な考え方、どのような人にどのように相談すべきか、逆にどのような人には相談してはならないかーーなど総合的に解説するとともに、いつでもどこでも有効な解決策を探るお手伝いをできるようにします。